怖くて怖くて怖くて、寒気がほとんど一日中止まらなくて、今日が一番他人を信じられない日です。
何があったのか、上手く説明できる気がしません。
でも、今日の気持ちも今日の出来事も、残しておかなければ忘れてしまう。
胃の痛みも蕁麻疹の前の痒さも、遠くへなってしまう前に書き残しておこうと思います。
Oさんは、4月に派遣社員として入社してきました。
丁寧すぎるくらい丁寧な人。開けっぴろげな人。たまに言葉遣いのおかしな人。時々常識的にあれ?と思うところのある人。他人を悪く言わない優しい人。健気に笑う人。
私から見たOさんは、そんな人、でした昨日までは。
金曜日の私の指示が気に食わなかったらしく、朝私を呼んでお話されました。中の人変わった?と思うくらい、強い口調と言葉と態度で。
金曜日、私はこれまでにないくらい優しく丁寧に言えたなと自己満足に浸っていたのに。
その後課長と話してOさんを呼んで、もうその後のオンステージときたら。
「課長の関西弁が怖すぎるんですよ、標準語を喋ってくださいここ東京ですよ?」
「課長きついんですよ、派遣皆に嫌われてますよ」
「課長もあの人もスマホ触ってる、私たち派遣はスマホ禁止なのに。タバコ休憩に行ったり、離席時間が長いんですよ」
「だからここは派遣の入れ替わりが激しいんです、派遣会社の人も言ってました」
「無駄話ばっかりしてるから声掛けたくても掛けられないし」
「指示の仕方が良くないと思います。こんななってない会社初めてです」
「いい加減な会社だと思いますよ」
……え…………?そんな言い方………………?
あの腰の低さは?私が全部悪いんですな態度は?絶対に嫌われたくないと表現していたような表情は?笑顔は?
足を組んで腕を組んで眉を吊り上げて、怖い怖い怖い。
言い方は直せるけれど方言まで変えさせる必要性はないのでは?
指摘するにしても言い方や順序があるのでは?
傷付いたら傷付け返していいの?
何もかも、もう憎いの……?
私はOさんが好きでした。
おかしなところもあるけれど、仕事で至らないところはあるけれど、いい人だし嫌なことを言ってこないから好きでした。
課長は言い方がきつすぎるのは本当で、申し訳ないと常々思っていました。直接OさんやKさんに火の粉が降り掛からないように出来るだけはフォローしていたつもりでした。
私自身は言い方に気を付けていたつもりでした。ありがとうもごめんなさいも、言っていたつもりでした。
指示の出し方は……ごめんなさい、私初めてだったんです、誰かに指示を出すのが。だから至らないところがあったのはしょうがない、でも指示を出される側には関係ない。
あの人をあんなに傷付けて、豹変させるほど嫌なところなのかもしれないけれど、私は自分の会社を気に入っているんです。
課長は言い方がきつくて、私もそれは嫌で嫌で仕方がないけれど、でも良き上司であろうとする努力は知っているから尊敬もしているんです。
もう嫌われてもいいですって言われても、やっぱり私は嫌いにはなりきれないんです、Oさんを。思うところがあっただろうに20も年下の私の指示を聞いてくれて、先回りして色々なことに気付いてくれました。困ることも多かったけれど助かることも多かったんです。感謝しています。
でも、Oさん。
やっぱりあなたのしたことは、良くはなかったと思う。
通すところを通さなければ、ただのわがままや非常識で済まされてしまうことなんてあなたくらいの年であれば分かるでしょうに。
自分に至らないところがあったことも認めなければ、他人に文句を言えないことくらいは分かるでしょうに。
あんな言い方や伝え方では、傷付けた挙げ句にただ困った人だと言われておしまいだと分かるでしょうに。
溜め込まずに、少しずつでも派遣会社の人に言っていれば少しは良かったのに。
そんなに何もかもを捨ててまで嫌だったんですね。悲しい。寂しい。
明日から、Oさんは別部署で仕事をすることになります。長くても9月までですが。
しばらくの間、私は戦々恐々としているのでしょう。
ストレスが溜まるとお腹が痛くなるのに、大丈夫かなと自分のことが心配です。
次長は、切る時には勢いよくやれる人だから、心配していません。信頼しています。
また一人、派遣社員が辞めてしまいます。