ちゅるゆーかの頭の中を晒すブログ

ちゅるゆーかの頭の中

出会わなければよかった人などないと笑います。

次長

私は、K次長を尊敬しています。

目を配り、気を配り、事業所内の人の心の機微からその人の好き嫌いまで、あの人は全てを把握しています。他人をよく見ている、と前の事業所で驚かれた私すら、足元にも及びません。

服装、髪型、ネイル、態度、テンション、歩き方、事業所の人間の、おそらく全てを見ているでしょう。

それは恐いほどで、これはさすがに気付かないだろうということを言っても「今頃ですか」と言われるのです。

例えば、髪。とある20代の派遣の人は年齢の割に白髪の多い子なんだな、と思っていたら何日か後に真っ黒になっていました。

よく見ると髪色が黒すぎる。次長に「あれは染めてますね」と言うと、「知らなかったの?」。いや、普通は気付かないです…………。

管理職という人種は皆観察力が高いけれど、この人に関しては観察力なんて言葉では足りないほど、他人を見ています。

 

 

 

事務所内の人間を知り尽くしている次長ですが、やはり、例えば女性同士の噂話などには手が届きません。そんな時のための私だと思っているので、これは耳に入れておいた方が良い、と判断すれば私から報告を上げます。

派遣社員同士のトラブル、社員同士の不和、広まりつつある噂話、日々の中で違和感を覚えたこと。

「分かってます」と言われることもあります。「ほんとに?!」と言われたら、新情報です。

私は同僚達の思っている以上に、次長の手足でありたいのです。

 

 

 

「オレは腹黒いから」と仰る通り性格は真っ黒で、私よりも性格悪いなと思うことが多々あって、でもそこがどうしようもなく好きです。その性格の悪さこそが魅力的だと思えるのは、間違いなく幸運です。

普段は物腰柔らかく、他人を傷付けず、明るくひょうきんで。けれど自分や味方を傷付けられた時、攻撃に発動する残酷さは、ほれぼれするほどの切っ先鋭い刃で。容赦なく切り捨てたり裏切ったりが出来る人です。

そういうところ、尊敬しています。怖いけれど、すごいなと思います。

 

 

 

話を聞いていると奥さんにベタ惚れで、猛アプローチで結婚したみたいです。

すごく想像が出来て微笑ましいのですが、今は「本当に釣った魚に餌はやらないタイプだよね」と溜め息をつかれるのだと言っていました。

その奥さんは私と中高が同じで、次長の家も、私の実家のすぐ近くです。正直怖いくらい近くです。いつか近くのスーパーで鉢合わせしそう。

私達が話のノリや好きじゃない人や大切にしていることが同じなのは、出身地が同じだからという訳ではないと思います。それでも同じ土地の話が出来るのは、内輪ネタのように楽しいです。

 

 

 

私は、次長にとって「こちら側」でありたいです。そうでなければ、人として終わりだとまで思います。

気に掛けられていて慈しまれていて守られていて、私はその身長の低い細身の体が大好きで、じゃれつくだけじゃなく弱音を吐いたり不満を言いに行ったりしています。

「目は掛けているつもりです」と言われたので「重々存じ上げております、いつもありがとうございます」と返事をすると笑われました。

そうです私は自覚しています。

目を掛けて貰っていること、ラーメンに誘われる時は私の精神面を気にされている時だということ、何だかんだで私とIさんとNさんには甘いこと、他の人より距離が近いこと。

次長も、私とする中身のない漫才のような会話を楽しんでいること。最近ストレスが溜まってそうだということ。帰りに私と喋ることでストレス発散していること。

 

 

 

この感情を何なんだって言われたら、迷いなく愛だって答えられます。

私がまっすぐに向ける愛を、気負うことなく受け止めて、まっすぐに打ち返してくれる人です。

愛される分だけ愛しています。

愛している分だけ愛されていると自惚れています。

 

 

 

明日も私は気安い口を聞いて、そうしたら笑いながら「殴っていーい?」って聞かれたりして、報告する時は肩を触れ合わせながらひそひそ声で、お昼は一緒に食べるかもしれないし食べないかもしれない。

怖い人だと知っているし、敵に回したらいけないと思っているし、性格が悪いのもひっくるめて好きです。

別れの日が近いことは分かっています。もう二度と同じ場所で働くことはないと分かっています。

だからこそ、誰に何を思われてもいいから、この日々の最後まで、この人にならと思える幸せを味わい続けていたいです。

話し掛けること、頼み事をすることを選ばれ続ける私でいたいです。

 

 

半年後、この文章を読んで私は何と思うのでしょうか。

最後まで、愛を持てていると良いと思います。別れの時まで、この敬愛の気持ちを持っていたいです。