昔、読んだ本の中に、忘れられない言葉がある。
本の中身は忘れてしまった。内容も思い出せない。
主人公(女の子)の仕事の話だったのか、学校の話だったのか、それとも失恋の話だったのか。
とにかく、主人公は一人暮らし。そして、ストレスが溜まって精神が追い詰められた。
鬱になる寸前で、しかし主人公は病気にならない。
どんな文章だったのか、正確には思い出せないけれど。内容は合っていると思う。
『思ったよりも私の体と心は丈夫にできているみたいだ。
私の体も心も簡単には病気にならない。
きちんとしたものを食べさせてもらった体と、愛されて育った心は、自分で想像した以上に丈夫なのだ。
私は自分の体と心は丈夫に育てた両親を恨むと同時に感謝した。』
もっと長いのだけれど、大体こんな感じである。
その時は、よく分からなかった。
ただ、そしてそれならば私の体と心も丈夫だろうと思ったので覚えていたのだ。
一人暮らしを始めて、大学に通い出して、バイトを始めて、何度も、鬱病になるのでは、もう鬱病なのではと考えたことがあった。
自分で考えてきたより私は弱いと思ったことがあった。
しかし、私は鬱病になることはなかった。
そろそろ本当にヤバイのでは、と客観的に思う頃にはいつの間にか回復していた。
私の体も心も、丈夫だった。
今まで、健康を気遣ったものを食べさせてもらってきた。
笑顔の絶えない家庭で育った。
思っていたより、丈夫に育っていたのだなぁ私は、としみじみ思う。
(蛇足。鬱病の人が丈夫でないと言いたいのではないのです。
心に病気が宿ってしまった人は、ストレスが自浄作用を上回ったということなのだろうと考えているから。
ただ、私は両親に感謝したいというだけなのです。)