Tさんのことが、嫌いになりつつあります。
理由は、Discordに全然上がってこない理由を教えてくれないから。
Tさんは、10か月間ほぼ毎日上がってきていました。寝る前につないで、しゃべりながら眠る。それが彼の中でもルーティン化していました。
しかし、10月後半以降、変わりました。
オンライン状態を隠すようになった。おみくじを引かなくなった。自分が最初の一人として上がることがなくなった。週2回程度の頻度になった。
その理由を聞いても、「本当に何もないよ」「睡眠時間の確保が」と教えてくれない。
何でも良いんです、ゲームでも女でも飽きたでも。
Discordに当てていた時間を何に使っているか教えてくれれば納得できるのに、変に理由はないなんて言うから、筋が通っていないように感じる。
以前は、帰宅してからのほとんどや用事が済んでからのほとんどはDiscordに使っていたはずです。その時間を何に使っているのか聞いているのに、何も教えてくれない。だるい。
そんな人じゃなかった。お互いに正直に向き合ってきたという自負が、崩れていっています。
教えてくれなくてもいいんです。「ちょっとね」と匂わせてくれるだけでも良かった。
なんで、何もないと言い張るのか、私にはそれが分からない。
このまま不信感が募って常連ロールを剥奪したら、その時はTさんは出ていくような気がします。
このまま、嫌いになりたくはない。
せっかく、嫌なことをされても乗り越えようと頑張ったのに。あなたはこちらを避けるんですね。
このまま思い出が消えるのは寂しくて、だから、私が抱き締めているこれまでの会話や思い出を、書き留めておくことにしました。
文字になった恥ずかしさよりも、忘れたくない思いが強いから。
私自身も恥ずかしいなんて、知ったことか。どうせなら、Tさんの恥ずかしい思い出もインターネットに晒してやる。
二人して寝落ちしようとしている時、起きているよって知らせたくて時折「んん」とか「んー」ってお互いに聞かせていたこと。「ん」「ん?」「んーん」「ん」って会話を代わる代わるしていたこと。
それに安心していたこと。
「ちゅるさんとAさんと話せるなら俺はどこでもいいんだよなぁ」って言っていたこと。
「寝る?」「や」「やなの?」「ん」「そっかー」なんて甘ったるい会話をしていたこと。
動画や写真で見るTさんの手がセクシーに感じたこと。
私が眠くなってくると「ねんねしなさい」って言われること。
ヨドバシでの買い物を見せてくれたこと。そのあと一緒にアイスも選んだこと。
私が上がると信じられないほどすぐに上がってきていたこと。
「30秒したら落として」ってねだったら、きっかり30秒後に「おやすみ」って囁いて落としてくれたこと。
他所のサーバーに遊びに行って笑い合ったこと。
囁いてみて、って頼んだら「ちゅるさん。アイス食べよう」って囁かれてくすぐったくって笑ってしまったこと。
「高い声出す練習しようかな」と言ったら、「音波みたいなの出すってこと?」と聞かれたこと。
眠くてうとうとしているTさんに「高い声出してみて」って言ったらもう訳が分かっていなくて、「えぇ、分かんないよぉ……おじさんをいじめるなぁ」と言われたこと。
「やあ」って挨拶されてたこと。
エプロンの話を皆が一生懸命しているから可笑しくて、「それ服着てる時の話ですよね?」って聞いたら、寝ていると思っていたTさんが「ちゅるさぁん」と大きな声でたしなめるように言っていたこと。
「よく知ってるねぇ」ってしょっちゅう言われてたこと。
「なんで俺がよく〇〇って知ってんの?!」ってビビらせたこと。
「Tさん、もしかして〇〇向かってる?」って聞いたら「えっ、なんで分かんの?!」ってビビられたこと。
「どうしてTさんの声はエコーしてるの?」「風呂だから」「風呂!?」って会話をして皆で笑ったこと。Gさんが、「裸ってこと?」って聞いてたこと。
「服着たならオールインワン塗って」って言ったら、「よく分かるねぇ、見てる?」って笑いながら聞かれたこと。
Tさんの言うことに笑い転げていたら、「ずっと笑ってんじゃん」ってTさんも楽しそうに笑いを堪えていたこと。
二人で月食を眺めながらお酒を飲んだこと。
「歯磨きしながら喋られても全然分かんないよー」って言われたこと。
「おはようございます」から「おやすみなさい」って言うまで14時間繋ぎっぱなしで、だらだら会話を楽しんだこと。
Tさんがいるならいいか、って思えていたこと。
幸せだったこと。
好きな人と話せる毎日や二人でつくる甘ったるい空気を、経験できたこと。
私は、あと一押しされれば落ちていたこと。
今も、おそらく押されれば落ちること。
たぶんまだ、好きなこと。