ちゅるゆーかの頭の中を晒すブログ

ちゅるゆーかの頭の中

出会わなければよかった人などないと笑います。

最近の小説

会社の行き帰りに、小説を、よく読んでいます。
文字を読んでいると、往復3時間40分だってあっという間です。

時間の無駄と思いたくないので、本当に面白くない本は、たとえ最初のページだってそこでやめてしまいます。
当たりだと言える本はそう多くはないけれど、良い言葉、良い物語に出会うと嬉しくなります。



●赤と青とエスキース/青山美智子

「誰でも、玉手箱を持ってるものなんじゃない? ただ、玉手箱を開けたらあっというまに老人になるっていうのは違うと思うの。そうじゃなくて、箱を開いて過去をしみじみ懐かしんでいるときに、自分が年を取ったことを知るのよ、きっと
(中略)
そのときに年を重ねた自分のことを悲しく思わないで、誇りを持てるように私はなりたいの。あの頃はよかったなあって嘆くんじゃなくて、箱の中にいる若い私にちゃんと胸が張れるように」
(略)
「どこにいても何をしていても、いつの世でも、人のやることは同じよ。食べて眠って起きて、好きになったり嫌いになったりするのよ」


三章の「トマトジュースとバタフライピー」が特に好きでした。
そしてこれは、Twitterでおすすめしている人が多くて読む気になったもの。好きな人が多いことの頷ける、納得の本です。



●妻の終活/坂井希久子
亭主関白な夫が、妻を癌で亡くしてしまう話です。
俺様な夫、耐え忍ぶ妻、カレンダーのバツ印。

もう少し眠っていたいのに、階下から漂ってくる甘い香りと娘たちの笑い声。鬱陶しいなと布団を被り、二度寝したあのころの自分に、それが幸せというものだと教えてやれたらいいのに。貴重なものを、ずいぶん取りこぼしてここまで来てしまった。

最後の美智子の父への指摘、廉太郎の後悔が心に残りました。



●ガーデン/千早茜
暗くて重いなと思いながらも、いい言葉がふんだんにまぶされているような本で、大事に大事に読みました。

「(略)嫌いとか好きとか、あれが欲しいとか、自分の手の中でする限りは自由じゃない。良い悪いなんてないし、好き嫌いに意味も理由もいらないよ。 もっとシンプルなものだと思う。
(中略)
僕は自分の好きなものを嫌いという人がいても、なんとも思わない。その逆も同じ。自分以外の人に自分の好きなものをわかってもらいたいと思ったこともない。同じ社会に属しているからって、どうして頭の中まで共有しなきゃいけないんだと思う」
(中略)
不幸も幸福も個人の中にしかない。理解や共感には限界がある。どんなに近付いて感情を共有しても、わかち合っている気になっているだけで、感じるすべてはその人だけのものだ。