エリザベートというミュージカルを、愛しています。
日本の映像化されているものは全て、エッセン版も観ました。それぞれに違いがあり、何度見ても飽きず、エリザベートの魂や死ぬことについて考えます。
(ちなみに宝塚版は初演が正義、東宝版はBlackバージョンが好きです。)
役者さんについては。
花總まりさんの宝塚版初演でのエリザベート、透明感や純粋さが表れていてとても好きです。鏡の間のシーンでは毎回見とれてしまいます。もちろんそれ以降も素敵なのですが、あの透明感や自由を求める気持ちの強さが、初演で一番煌めいているように見えるのです。
ルキーニは宝塚版では轟悠さんがお気に入り。東宝版は成河さんのあの下品さが大好きです。王妃を殺したことに納得のいく狂っているルキーニ像が私は好きです。
ヴィンディッシュ嬢は、宝塚版の海乃美月さんがずば抜けています。あの眼。本当におかしいのではないかと思ってしまうあの眼。素晴らしい演技力に見る度に惹き込まれてしまいます。
そして何と言ってもゾフィー。私はゾフィーというキャラクターが大好きで、観る度に彼女が背負っていたものや守りたかったものについて考えます。
宝塚版でゾフィーが亡くなってしまうシーンがないのがとても残念です。
宝塚版では出雲綾さんの厳しくも優しさのあるゾフィー、夏美ようさんの恐いけれどどこかユーモアのあるゾフィーが特にお気に入りですが、各ゾフィーを見比べてどんな性格で作ってあるのかを推察するのが楽しいです。
ゾフィーはエリザベートの中では悪役ですが、彼女もまた、歴史の主人公の一人だったと愛しく思います。
暇で考えることがない時、なぜあの物語の語り手はルキーニなのかと考えます。
ルキーニとは何者なのか、エリザベートは死を愛したのか。死は、味方なのか。
いつか私にも、否、生まれてからずっと私に迫り続ける死について、向き合えるのはエリザベートのおかげです。
物語は完成されていても受け手の私達は幾らでも想像や解釈を広げることができる。物語の美しさに感謝するのです。
死について、考えたい時にエリザベートはおすすめです。
生について、考えたい時にエリザベートはおすすめです。
史実とそうでないことが巧みに混ざった物語は、想像や解釈を自在にしてくれます。
エリザベートをいつでも鑑賞できる時代に生まれて良かったです。