男の人は、いいよね。
って午後中ずっと思っていました。
男性は異性から重視されるポイントが歳とともに変わっていくが、女性はずっと変わらない。
そう、聞いたことがあります。
小さい頃は運動神経、もう少し成長すると顔、社会人になると収入や所属といった、どこか一つで秀でられればどこかで女性にモテる。
反対に、女性が重視されるのは、生まれ持った容姿のみ。
社内の共用メールに、なぜか残っていた個人宛のメールを見てしまって。
可愛らしい先輩と自分との扱いの差に、見なければ良かったと後悔してから、心が黒く染められるのを止められません。
分かっています。
お人形さんのような顔をしたあの人が体型を維持するために努力していることも、どこに行っても振り向かれるような長身美形のあの人に辛い過去があることも。
それでも、こんな日は、どうしても心が醜く歪んでいくのを止められないでいます。
私だって、美しく生まれたかった。
そう思ってトイレの扉を開けると、綺麗な人とすれ違って、自分の心の真っ黒さにまた憂鬱になって。
分かっています。
生きやすそう、と言われる私だってこんな気持ちになるのだから、他の人たちだって辛い思いをしているに違いないってことも。
他人から見るほど人生なんて甘くないことも。
きっと誰にだって起き上がることすら億劫な朝があることも。
分かっているけど、
女の子は愛嬌が大事と言いながら、本当に可愛い女の子だけを選んで話しかけに行く上司もいます。
仕事が出来て誰にでも可愛がられている美しい先輩が眩しすぎて直視できません。
飲み会で私だけ彼氏がいるか聞かれませんでした。
ねぇ、なんか、全部全部、黒くて、真っ黒で、もうどうしようもなく心が汚れていくのが止められないんです。
分かっています。
毎年、梅雨時は憂鬱になる。
妬みも僻みも嫉みも、きっと、雨のせい。
きっと美しければ良かったなんて、明日晴れれば忘れている。
何の悩みもなさそうなんて、嗤われながら。
全部、雨のせい。