平成22年2月22日の22時22分に何をしていたか、覚えている方がいらっしゃるでしょうか。
私は、自宅の自分の机で、腕時計を眺めていました。
最近、妙にそのことを思い出すのです。
今も昔もゾロ目に意味を見出したことがなく、数字にこだわらない私が、2が9つ並ぶその日付時間を意識しだしたのは、副担任の先生の言葉でした。
次に来るのは遠い未来だとか何とか、そんな言葉だったように思います。私はそんな言葉を、前の席にいた好きな人のうなじを見ながらぼんやりと聞いていました。
次に来るゾロ目の遠い未来、私はこの日を憶えているんだろうかと思っていた気がします。それから、こいつの背中も憶えているだろうかと椅子をつま先で蹴ったような気がします。
それよりも後に、私は他人よりもエピソード記憶に優れているという事実に気が付いて、やっぱり実際、こうして何年経ってもあいつのふくらはぎの形なんていう、どうしようもないことを憶えているわけなんですが。
あの時、高校入試がまもなくで、私立の合格通知を貰った翌日に公立高校の志願書を出した私がどう考えていたのか、それはあまり憶えていないのですが、割と静かに、その時間を待っていた気がします。
その時見ていた時計は誕生日に買ってもらったもので、とてもとてもお気に入りで今でもデザインを正確に思い出せます。
それを眺めながら、あいつも、今頃時計を見ているかなぁなんて思っている私は、幸せの笑みだっただろうと今となっては懐かしいです。
次のゾロ目が並ぶ時、私はどうしているのでしょうか。
出来れば、自分と同じくらい大切な人を見つけていられればいいなと思います。