ちゅるゆーかの頭の中を晒すブログ

ちゅるゆーかの頭の中

出会わなければよかった人などないと笑います。

【原田マハ】楽園のカンヴァス

いつまでも続くような物語が好きです。


小説の最後、「で、どうなったの?」が分からない作品が好きです。
彼女はどこまでも歩き続けられる気がした、とか見上げると青い空が広がっていた、とかとにかく、その後どうなったかを読者に任せるような、そんな結末の、物語が好きです。



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久しぶりに小説を読んだなと思って、そうじゃなくて久しぶりに面白い小説を読んだんだと気が付きました。ページをめくりたくて、でもめくるのが惜しくて、でも先を急いてしまう、そんな物語を。

情熱――そう、情熱が駆け抜けていくような、でもそれは作品に出てくる絵画の中になのかそれとも作品それ自体になのか。それを知りたくて知らなくていいような気もして、それで、焦るかのように読み続けてしまう、そんな物語でした。



アンリ・ルソー。彼の絵を巡る、美術家の、なんだろう、情熱をかたむけた一週間。でしょうか。
彼の名前は聞いたことがあるけれど、正直よく知りません。けれどこれを書いたあとに、ブラウザの検索窓に打ち込んでみる気もありません。この物語に出てくるルソーを信じ続けていたいから。



結末がはっきりしない小説が好きなのは昔からです。
最後に何もかもがくっきりはっきり描写されてしまうと、もうなんたか、想像の余地もなくなるような、未来を断定されてしまうような、そんな気になるから好きじゃないんです。

未来は、どこまでも続く。今日が片付いても、明日がやってきて、その後ろには明後日がくっついている。だから断定なんて出来るわけがない。そう思います。
そして、断定できないからこそ、もがくことも出来るし、苦しまなければならないことだってある。でもそんな日常を生きていたいと思うから、だから、断定されていない、思うにまかせたままの未来が好きなんだと思うんです。



恋する相手に再び出会った、その感想も出ないまま、物語は終わってしまいました。
何も明らかにされていないのに、何かが解決したような気になっているだけ。
それなのに私がこんなにも満足しているのは、久しぶりに小説を読んだからなのでしょうか。



さて、近所の図書館には原田マハの作品が他にもあるはずです。
明日、行ってみようかと思います。