ちゅるゆーかの頭の中を晒すブログ

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ちゅるゆーかの頭の中を晒すブログ

出会わなければよかった人などないと笑います。

現代人の叫び

一番、私って現代人だなぁと思う瞬間は、歯医者で麻酔をされて歯を削られている時だと思うのです。最近通っているんですけど、あそこほど緊張する場所も世の中には少ないですね。



歯医者といえば、思い出す人がいます。
大学の門を出てすぐの場所には歯医者があって、そこに何度か通ったことがあります。
ある日、私が現代人として治療を受けていると、隣に案内されてきた人がいました。どんな人なのかはすぐに分かりました。まもなく泣き叫ぶ声が聞こえてきたからです。



「いやぁぁぁぁああああ!帰るうぅぅぅぅう」

未就学児と思しき男児でした。ものすごい悲鳴、ありったけの抵抗。
まだ若い男の先生が椅子に座る音がして、診療が始まりました。

「はい、口をあけてー」
「いやぁぁぁ!」
「何もしないから、ほら、何も持ってないから」
「手で抜くんだぁぁぁぁぁ!やだぁぁぁぁああ!」

賢いな、お主。以下、先生と男の子のやり取りが続きます。

「何もしないから、大丈夫だから」
「絶対いやだぁ、ママがいい〜〜!」

ここでママが参戦。

「家でするといたいから、ね、先生にやってもらいなさい」
「そうだよ、家は痛いよ」
「家がいいぃ〜!いやだぁぁぁ」
「ここでしないとね、小児歯科でやってもらわないといけなくなるよ」
「しょうにしかいやぁぁぁぁぁああ」

「……ちょっと、間を置きましょうかね」
「すみません、お願いします」



もう途中から可愛いやら可笑しいやら。歯科衛生士さんたちも、またか、という顔で苦笑してましたし。
うん、でも確かに歯医者は私も出来れば、あまり縁のない場所であって欲しいです。ちょっと無理っぽいんですけどね。

で、そこで
「すみませんね」
「いや大丈夫ですよ〜」
というやり取りのあと、私の治療に先生がやってきました。

口を開けて、椅子から変化した台の上に転がる私。それを覗き込む先生と歯科衛生士さん。そこに聞こえてくるお隣の叫び声。



「帰るぅぅぅ、ママがいい〜〜!」
「痛くないから、ね、痛くないから先生にしてもらおう」
「いやだぁぁぁぁああ家で抜くぅぅぅぅ!!!」
「今しないと小児歯科行かないといけなくなるよ」
「しょうにかぁぁぁぁやだぁぁあああ」
「だったら先生に見てもらおう、ね?」
「帰るぅぅぅ!!」
無限ループですか。



そんな風にツッコみながらも、こっちは治療を受けている最中ですから。必死に笑いを堪えながらも震えないように転がっている訳ですよ。



しかし、それでも続く隣席での叫び。

「やだぁぁぁぁ!!」
「大丈夫だからって」
「家でするぅぅうぅぅぅ」
「家で糸ですると痛いから、ね、先生何もしないって言ってたでしょう、ちゃんと見てもらおうね」
「いぃぃぃやぁぁぁぁ帰るぅぅぅ糸がいいぃぃぃ!」



糸?糸って何よ?あれ、もしかしてあれ?昔絵本で読んだ、糸の端を歯に、もう片方の端をドアに結んで、ドア閉めて歯を抜くやつ……? ……やばい、やめて、それ想像したら私の腹筋が持たない……!糸は良くないから!それ血ぃ出るやつ!!

先生も手が震えてるし!だよね、可笑しいよね。でも頑張って震えを堪えねば。

「いや、糸はだめだろ」
先生ぃぃぃぃぃ!私の口を覗き込みながらツッコむのやめてください!!

「はい、ちょっと動かないでー」


……無理です。せっかく我慢してたのに、誰のツッコミで崩壊したと思ってるんですか!



その後、
「口の中見るだけ、見るだけだから」
「いやぁぁぁああああ」
という会話が何度か交わされ、結局何の進展もないまま、男の子は帰っていきました。隣の席で削る音とか聞こえててごめんね。謝るけど、麻酔すると痛くないのマジだよ。と心の中で掛けた声は聞こえなかったと思います。帰る時も泣いてたので。



「いつも、ああなんです」
と受付の方は苦笑されてました。歯医者っていうのも難儀な職業だなぁと思いながら5歳くらいですか?と聞くと、小学4年生なんですよ、との返事。……まじですか。



彼、その後無事に治療は進んだでしょうか。私以外に隣になった人も、たぶん迷惑に感じるよりも笑えたんじゃないかなぁ。可愛い故に笑いたくもなる叫び声でしたから。
もう一度、彼のあの声を聞いてみたいような気もします。